2021年の振り返り

2021年の振り返り

 

  • 仕事編
  • プライベート編

 

 

  • 仕事編

仕事に慣れてきた、バリューが発揮できるようになってきた1年であったと思う。ただ、同時に自分の課題や出来ないこと、苦手なことが見えてきた1年でもあったと思う。

 

まずは、何が出来るようになってきたのか、ということだが、プロジェクトの中で何を期待されているのか、自分としてはどう動けばいいのかということが分かってきたということ。

また、タスクの設計が出来るようになってきて、こうやってこう進めればこのタスクはいつまでに終わるな、ということは分かるようになってきたように思う。

 

一方、出来ていないことは3つ。

・モチベーション管理

・タスク設計

 

まずは、モチベーションの管理が出来ていないというのが1番の課題である。

朝起きて9時には仕事を始めるとか、今日やるって決めたことは今日中にちゃんと終わらせるとか、そういう当たり前のことが出来てないことが良くある。

 

当たり前のことが出来ないのは環境の問題もあるのかもしれないが、意志力の問題と週間の問題であると思われるため、ちゃんと集中して仕事をするという習慣を自分でつけていくことを2022年の最低限の目標としたい。

 

もう一つ、ちゃんとしないといけないのは、タスク設計。

与えられたタスクをとりあえず淡々とこなすというのが習慣になってしまっている気がする。タスクを自分なりにどう解釈してどう完了させるのかという前のめりな姿勢が最近足りていなかったと感じる。

その点を自分なりに反省して改善したい。

また、そういう姿勢が足りていないことで、とりあえず調べる→とりあえず情報をまとめる、というようなタスクの進め方になってしまっている。

当然、その進め方で問題ないタスクもあるのだがそうでないものも多くある。その点を考えながらちゃんと進めていきたい。

 

タスクを振られたら、まず5W1Hで分からないところがないかをミーティング中に整理して聞いてしまったほうが良いのだろう。

 

とりあえずこの2点を改善していけば十分戦えるコンサルタントになると思う。

モチベーションについては、基本的に仕事は会社でやるんだという習慣をつけることで解決していきたい。

 

  • プライベート編

プライベートは、振り返りが難しい。

7月下旬に彼女が出来た。ただ、彼女という存在を自分の生活の中で、自分の交友関係の中でどのように位置づけるべきなのかということが分かっていない。位置づけるべきか、みたいな問いを持っている時点で心から愛していることにはならないのかもしれないし、正直心から愛するということがどういうことかも自分で理解できていないような気がする。

 

愛するとはどういうことなのか、どのように愛せばいいのか、そういうことが自分にとって一番難しく、難題である。

 

本当に愛する人と会っていないからなのか、本当はちゃんと愛せているのか、そもそもそういう感情が自分にはないのか、分からない。

良い彼女だと思うし、別れるような理由も見つからないし、別れたいと思うようなきっかけもないのだが、心が乏しいからなのかどう大切にしたらいいのか、その答えを出せずにいる。これは時間が解決することなのか、考え続けないといけないことだと思う。

 

 

 

 

一生使える見やすい資料のデザイン入門

PowerPoint

 

・英語には和文フォントではなく、欧文フォントを使う(おすすめは日本語はメイリオ、英語はSegoe UI) 

・窮屈に感じたら、文字幅を広げる

・縦配置は順序関係、横配置は比較・並列関係

・数字は大きく目立させ、単位は対比のため小さくする

・箇条書きよりは四角のなかに文字を入れる

・箇条書きの番号は①などは円で自作する←手抜き感がなくなる!

・矢印は貫通させて(一つの矢印のみで)、すっきりさせる

・写真は思い切って画面全体まで引き延ばしてもいい!

Word

・ゴシックは見る字(見出し)、明朝体は読む字(本文) 

地方創生2.0ー強い経済を牽引する「ローカルハブ」のつくり方 神尾文彦

目的

本書を手に取った目的は、2つある。1つ目は、私の興味分野である地方創生について新しい気づきがあれば、それを得たいということ。2つ目は、私が半期所属することになる野村総合研究所社会システムコンサルティング部の部長神尾文彦氏が地方創生に対してどのようなビジョンを持っているか把握するためである。建前は前者であるが、本音は後者である。

概要

 野村総合研究所コンサルタント神尾文彦による新しい地方創生について述べられている。

 東京などの大都市圏は、グローバル都市の一員となる「メガリージョン」、地方圏は経済的に自立した「ローカルハブ」となり、それぞれが依存するのではなく、自立共生型のモデルになることを提唱している。そして、そのモデルの実現に必要な7つの処方箋をあげている。

 本書では基本的に、ドイツの事例との対比という形で述べられてる点が特徴的であると言える。ドイツの事例がどれほど日本に適応可能かという点については疑問点が残るところである。

感想

本書に関しては申し訳ないが疑問に思う点がいくつかある。

・メガリージョンに対しての効果的な施策が見当たらない

ガリージョンとは、海外からヒト・モノ・カネが入ってくることであり、簡単に実現できるものではないと考えられるが、そこに対する効果的な施策が見当たらない。著者はどうやらロンドンやシンガポールをイメージしているようだが、地政学的な背景の異なるロンドンやシンガポールを参考にするのは難しいと考えられる。また、これらの都市は成長時にメガリージョンとしての機能を身につけていったと考えられるので、成熟してしまった日本の東京や大阪にグローバルのヒト・モノ・カネが入ってくると考えるには、無理があると言えるだろう。

・都市と地方の相互依存構造の弊害に対する考察に対する疑問

”東京で活動する企業の1人あたり付加価値額を見ると、地方のおよそ4倍である”とあるが、これは東京には大企業が多く、地方には中小企業が多い。そしてこれはアトキンソン氏が触れていた、企業の規模による生産性の違いと考えることも難しくないと思われるため、無理に相互依存構造のせいにするのは違和感がある。

・7つの処方箋の効果に対する疑問

ひとことで言うと弱い。大企業を呼び戻すのに、

経団連が指摘しているように、本社機能の地方移転を促進していくためには、国においては、法人税・法人事業税等の優遇や、不動産取得税等のイニシャルコストの軽減などの税制面での優遇策を講じるとともに、政府関連機関の地方移転、地方分権改革を徹底して進める必要がある。また、地方においては、交通インフラ等の事業環境整備をさらに進めながら、各地方において独自の産業集積を図り、持続的に発展するクラスターを形成していくことが望まれる★ 4。とりわけローカルハブとしては、地方創生の重要なプレーヤーである大企業を呼び戻すために、先述のような民間企業や国の動向を敏感に察知しつつ、地域資源を最大限に活用した「産業クラスター戦略」を具体化することが重要である。特区制度(地方創生特区、構造改革特区など)など国の制度やモデル事業を有効に活用するなど、独自の制度や振興策を設けることも必要であろう。”

とあるが、弱くないか?もしくはざっくりしすぎているか、どちらにせよ、地方創生が上手くいくビジョンはここからは見えない。

 

一方、納得のいく点・ためになる点もあった。

・日本は国(中央)から地方に払われる財政調整額がとても多い

日本は、年間に約19兆円の財政調整を行っているが、これはドイツの約7倍、イギリスの約3倍に相当する大きさである。(しかもイギリスは、地方の税収はほぼゼロである一方、日本は国の税収と地方の税収が半分ずつである。)要は、日本の地方は、欧米と比べても国全体の芸材の足を引っ張っているのだ。また、中小企業向け信用補完制度が、日本は他国と比べて、極めて大きい。しかし、企業の新陳代謝の為に使っているイギリスやドイツとは異なり、日本は現行企業の存続にも多額の保証をしている。

・東京とて、生産性は高くない

東京は、政府・事業・情報等の都市機能がほとんど集中しているため、てっきり生産性が高いと思っていたがそうではない。一人あたりGDPは、ニューヨーク大都市圏、ロンドン大都市圏の6割前後にすぎない。

・地方で優秀な人材を確保するためには、特色ある大学が全国各地に存在している必要がある

事例で挙げられているドイツは、工学系単科大学が全国各地に存在している。また、偏差値という一つの基準で測られ、序列が形成されている日本の大学と異なり、それぞれが独自の技術教育基盤を有している。日本の大学も偏差値だけで分けるのは終わりにしたほうがいいのではないかと思う。

 

レバレッジ・リーディング 本田直之

概要

サブタイトルに100倍以上の利益を稼ぎ出すビジネス書「多読」のすすめとあるように本書は、ビジネス書を仕事につなげるための読書方法であり、いつでも適用される読み方(小説・学問等)ではないということを断っておく。

 

”「本を読まないから時間がない」”(はじめに)

”本を書いた人が何年も何十年もかけて体得したノウハウを、わずか一冊の本を読むだけで手に入れることができる”(はじめに)

”常に目的意識を持って、いらないところを切り捨てる読み方をすると、一冊の本を短期間で読む終えることができるので、どんどん本が読めます。(中略)つまり、情報の取捨選択能力がアップしたわけです”(ビジネススクールで発見した「多読術」)

”また、成功だけでなく、失敗からも学ぶことは多いものです。(中略)できるだけ実務家が書いた本を読むようにしています”(レバレッジ・リーディングとは何か?)

”大成する人というのは、その時点の収入額に関わらず、人生全体を視野に入れたうえで、人生での総収入額を増やすためのお金の使い方をしている”(本は最高の投資対象だ)

”今日は勝者のための言葉で、明日は敗者のための言葉だ”(本探しは投資物件選び)

”著者がどんな人なのかは重要なポイントです。その本を書いた人が今までどんな仕事をして、どんな実績をあげた人なのか、購入する前に必ずチェックします”(教養型よりは経験型を選べ)

”一冊の本だけに書かれていることは、その著者個人の意見かもしれません。しかし、もし同じことを10人の著者が主張していたら、それはもう原理原則と呼べるのではないか(同じジャンルの本を徹底的に読む)

”メルマガの書評を利用する”(メルマガの書評を利用する)

”たとえば、成功した経営者の書いた本を読むなら、「自分が今すぐにマネできるような点をできるだけ多く見つける」とか、あるいは話し方の本を読むなら。「実際の会話で使いたくなるようなフレーズに線を引く」といった程度でよいのです”(カラーバス効果とは?)

”一冊の本を読み始める前に、「この本は、だいたいこれくらいの時間で読み切ろう」と私は決めています。”(制限時間を設ける)

”本を読んでひらめいたアイデアや、著者の主張に対する自分の考えは、余白や白紙のページにどんどん書き込むべき(中略)投資としての読書のコツは、自分の身に置き換えて読むことです。「自分だったらどうするか」をシミュレーションしつつ読んでいくと、アイデアがどんどん出てきます。それを全部、本に書き入れます(余白にどんどん書き込め)

”本を読む前に、「この本から何を学ぶか」とはっきりさせておく”(まず週一冊から始めよう)

”知識に経験が加わってはじめて、物事は『できる』ようになる”(実践で活用してみよう)

”たくさんの冊数を読むことも大事ですが、たくさん実行することのほうが大事です”(実践で活用してみよう)

 

 

統計学が最強の学問である

概要

統計学がなぜ今重要なのか、統計学とは何なのか、統計学を上手く扱うにはどうすればいいのかについて触れられている

 

目次

第1章 なぜ統計学が最強の学問なのか

第2章 サンプリングが情報コストを激減させる

第3章 誤差と因果関係が統計学のキモである

第4章 ランダム化という最強の武器

第5章 ランダム化が出来なかったらどうするか

第6章 統計家たちの仁義なき戦い

終章  巨人の肩に立つ方法

 

内容

第1章 なぜ統計学が最強の学問なのか

 ”どんな分野の議論においても、データを集めて分析することで最速で最善の答えを出すことができるからだ”

 「疫学」という原因不明の疫病を防止するための学問がある。

 19世紀にコレラという疫病に対して、「疫学」は行われたが、その中でも統計学は重要な役割を果たす。疫学の父ジョン・スノウは、病原菌が~で、感染経路は~で、というロジックを全て飛ばし、聞き込みや観察から得られたデータから、水道会社Aの水を使うのをやめる、以上!という結論を出してしまった。これは実際、正解だった。

 現代の医療ではEBM(Evidence-Based Medicine)「科学的根拠に基づく医療」という考え方が主流となっている。そのエビデンスの中で、最も重視されるものの1つが、統計データとその分析結果である。

 医療だけではない。経済学だって、経営だって、スポーツ(マネーボール)だって統計学を使わざるを得ない時代になっているのだ。

 現在、特に統計学が注目されているのはITとの組み合わせによる。紙とペンで行われていた統計学は、いかに計算を省くか、いかに少ないデータから示唆を出すかというところに注力していたが、コンピューターの登場によって、それらの制約がなくなったのである。

 IT化が進み、多くのデータが得られるようになったが、データそのものは価値がなく、データから示唆を得ることが重要であるため、統計学はますます重要性を増してくる。統計家は”これからの10年で最もセクシーな職業”とGoogleのチーフエコノミストも発言しているくらいだ。

 

第2章 サンプリングが情報コストを激減させる

 ビックデータ・データマイニング等の用語がもてはやされているが、”データをビッグなまま解析することが、どれだけの価値を生むのかどうか、果たして投資するコストに見合うだけのベネフィットが得られるのかどうか”わかっていないことが多い。

 全数調査のほうがサンプリング調査より正確だと感じる人は多いかもしれないが、実際はサンプリング調査でもほとんど問題がない。一定以上のサンプル数に達すると、サンプル数を増やしても、標準誤差はあまり変わらないのだ。ビックデータを解析すべきかどうかは、その0.1%の正確さを上げることが費用対効果として見合っているかどうかということに左右される。

※標準誤差:サンプルから得られた割合(ex.失業率)に対して標準誤差の2倍を足した値までの範囲に真の値が含まれている信頼性が約95%、という値。

(サンプリングの失業率=20%、標準誤差=0.5%の場合、真の失業率=24~26%)

 

第3章 誤差と因果関係が統計学のキモである

”データ分析において重要なのは、「果たしてその解析は欠けたコスト以上の利益を自社にもたらすような判断につながるのだろうか」という視点だ”

 データをビジネスに使うためには以下の3つの問いに答えられなければならない。

【問1】何かの要因が変化すれば利益は向上するのか?

【問2】そうした変化を起こすような行動は実際に可能なのか?

【問3】変化を起こす行動が可能だとしてその利益はコストを上回るのか?

 つまり、ただの集計結果を見せるだけでは、正直何の意味もない。アクションにつながるかどうかという点を重視しなければならないのだ。

 本書では、こんな例を使って示している。マーケターがキャンペーンの広告を見たかどうかのアンケートを集計し、半数以上が「見た」と答えたからキャンペーンは成功!と言ってしまう。この話にはツッコミどころがいくつかある。重要なのは、利益につながる、つまり商品を購入してもらうことだが、「見た」から成功!というのは成功の定義がずれている。広告を「見た」人と「見なかった」人の購買率を示すグラフが必要だ。そして、「見た」人のほうが「見なかった」人より購買率が高いことが示されて初めて成功といえるのである。

 

 著者は、「60億円儲かるレポート」で、実際に利益につながるDMの送り方をコンサルティングしていた。この例は、3つの問いを全て満たした、まさにデータがビジネスにつながった例なので、ぜひ読みなおしたい。

 

 データが利益につながる例が示されたが、データ解析には大きな落とし穴がある。あるECサイトの運営会社ではA/Bテストにおいてp値についての考慮がされていなかった。つまり、「誤差」についての考慮がなかったということであり、偶然の差によってビジネスを進めていた可能性が高いということである。

※p値=実際には何の差もないのに誤差や偶然によってたまたまデータのような差(正確にはそれ以上に極端な差を含む)が生じる確率

※A/Bテスト=デザインにせよ機能にせよ、AパターンとBパターンを両方試してみて比較するテスト

 

 データから示唆を出すためには解析方法だけでなく、そもそもどんなデータを解析をすべきか、ということも考える必要がある。そのポイントは次の2点だ。

①適切な比較をおこなうこと

②その誤差とp値についても明らかにすること

 ここで、①での適切な比較という点に触れると、サッカーだと勝ちがゴールであるため、「勝った試合」と「負けた試合」になるだろうし、ビジネスなら利益がゴールになる。つまり利益につながることである。(直接・間接は問わない)

 つまり、保有するデータのうち何が、どのような関係で利益とつながっているか、という点について考えることが重要なのだ。

 

 まだ、落とし穴はある。因果関係の向きである。例えば、広告を見た人の割合が商品購入者の母数のほうが、商品非購入者の母数より多かったとしても、「広告を見た」→「商品を購入した」の矢印が成り立つことを意味しない。ではどうすれば解決するのか。

①「関連しそうな条件」を考え得る限り継続的に追跡調査し、統計学的な手法を用いて、少なくとも測定された条件については「フェアな比較」を行うというもの

②解析ではなく、そもそものデータの取り方の時点で「フェアに条件を揃える」というやり方←これがランダム化である

 

第4章 ランダム化という最強の武器 

 ランダム化比較実験は、とても強力であるが、”その最も大きな理由は「人間の制御しうる何物についてもその因果関係を分析できるから」”である。そして、”科学で扱える対象の領域を爆発的に拡大させた”のである。

 ミルクティーの違いを当てられる夫人の話が出てくるが、10回ランダムで飲ませて、全て当たったら、婦人がデタラメで当てた確率が1/1024=約0.1%であるため、婦人は識別できていると考えるのが自然である、と結論付けられるのだ。

 小麦の収穫量と気候・土壌の関係のような「誤差」の生じる現象には科学的なアプローチは不可能だと考えられていたが、フィッシャーはランダム化比較実験によって、実験という概念を広げたのである。

 ランダム化比較実験によって、”小さなコストとリスクで「あえて間違いを犯すこともできる」”。例えば、クレーム対応において3つの対応をランダムにおこなえば、有意な差でリピート率が変わるなら、最もリピート率の高い対応を取ればいいのだ。

 しかし、ランダム化にも3つの限界がある。

①現実の壁:1回、もしくは数回しかチャンスがないもの(地震M&A等)

②倫理の壁:ランダムに半数のガン患者に効かない薬を投与する等

③感情の壁:Amazonの値段に対するランダム化比較実験にクレームが入る等

 

第5章 ランダム化が出来なかったらどうするか

 まずランダム化ができないときにどうするのか、という問いに対しては、「ケースコントロール研究」をするというのがまず一つの答えだ。「ケースコントロール研究」とは、比較する要因以外の条件がほぼ同じである事例を比べることで、「フェアな解析」が出来るというものだ。(タバコと肺がんの関係を示すために、性別や年齢で区切った)

 ただし、これに関してはフィッシャーからの反論がある。ケースコントロール研究では、人為的に同様になるようにそろえた条件しか同様ではない。そのため、そろっていない他の条件があることが否定できないのだ。

 本書で言われているのは、確かに条件を完全にそろえることは不可能だか、そこにこだわりすぎても、アクションが取れないだけだということだ。(タバコと肺がんの関係性のデータは正しかったことが世界中のデータから証明されている)

 

 ケースコントロールをしなくても高度な手法をとれば、「フェアな比較」は可能になる。そのうちの一つが回帰分析である。データ間の関係性を記述したり、一方のデータから他方のデータを予測する数式を推定するのが回帰分析である。(たいてい横軸に説明変数、縦軸に目的変数がくる)ちなみに回帰分析という名前は、ばらつきによって、「平均値への回帰」が起こることに由来してる。

 ゴルドンの回帰分析は、データの中心を通る直線と数式に過ぎず、ばらつきを示すことが出来なかった。フィッシャーは、「無制限にデータを得ればわかるはずの真に知りたい値」を「真値」と呼び、データから計算された統計量がどの程度の誤差で真値を推定してるかを数学的に整理することで、適切な判断が下せるという考え方を示した。以下が、回帰分析のばらつきを含んだ数値である。

・回帰係数の推定値:データから示されているが、「真値」を推定したものに過ぎない

・標準誤差:推定値の誤差の大きさ

・95%信頼区間:95%の確率で、そこに真値があると考えられる範囲

・p値:回帰係数が0だったときにたまたまこの回帰係数が推定されてしまう確率

 

 統計学の理解が進む一枚の表がある。

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統計学の理解が劇的に進む一枚の表

 

 これらの統計学的手法は、全て一般化線形モデルと見なすことができる。この一枚の表があればデータ解析で使うべき統計学的手法を見つけることができるのだ。

 全集団同士の単純比較は、その内訳となる小集団同士との比較の結果と矛盾することもあるというのがシンプソンのパラドックスである。このような問題を避けるには、層別解析をする方法がある。しかし、ここにも限界がある。階層が増えてくると上手くいかなくなるのだ。(計算の煩雑さ・小集団のNの縮小)

 重回帰分析はここを乗り越える。「性別によって点数が平均的に何点異なるのか」を推定して、層別に分けることをしなくてすむのだ。性別の違いにより平均で何点違うか、高校によって何点違うかとい複数の回帰係数を同時に推定するのだ。

 ロジスティック回帰は、もともと0か1かという2値の結果変数を変換し、連続的な変数として扱うことで重回帰分析をおこなえるようにしたものである。留意点は、ロジスティック回帰では、回帰係数をオッズ比「約何倍そうなりやすいか」で示すということだ。

 回帰モデルを扱うときに注意しなければならないのは、交互作用である。交互作用とは、「お互いに相乗効果がない」という仮定が崩れているということである。つまり、A高校の女子の点数が男子の点数より15点高くB高校も同様に女子の点数が男子の点数より15点高いなら、「お互いに相乗効果がない」と言えるが、そうでないなら、交互作用があるということである。この場合、2つの変数をかけあわせた新しい説明変数(交互作用項)を作り、その回帰係数にちても同時に推定することで解消される。

 しかし、交互作用に気を取られすぎると、交互作用項だらけになってしまう。そこで役に立つのがスコア傾向である。興味のある2値の説明変数について「どちらに該当するか」という確率のことをいう。つまりタバコの例でいうと、居住地や職業から、同じくらいタバコを吸うだろうと考えられる集団年で比較すれば、「その他の条件」と「喫煙の有無」の関連性が「喫煙の有無」と「肺がん」の関連性を歪めることはなくなるということだ。

第6章 統計家たちの仁義なき戦い

 この章では、私にとって興味のないことも多かったので、その点については割愛する。簡単にいうと、社会調査と疫学・生物統計学では、統計の目的が異なるのだ。そのため、統計学の使い方も異なるということだ。社会調査では、可能な限り偏りなく、求められる誤差の範囲に収まる推定値を最も効率よく得るためにはどうすればいいのかを重視する。一方で、疫学・生物統計では、p値に基づき「原因」がちゃんと見つけられるのであればいいというスタンスである。

 また、心理統計学では因子分析という分析方法が行われる。お互いに相関している複数の値から、それらすべてとよく相関する新しい合成変数を生み出すのだ。測定できる反応速度・記憶力・言語能力などから一般知能(IQ)という合成変数を生み出したのだ。また、心理統計ではパス解析という変数間の関係性を表した図を好む。確かにこれは経営学の論文でも何度か見たことがある。

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パス解析の参考図

 

 データマイニングとは、大量のデータの中からうまく価値のありそうな情報・仮説を引き出すこと。有名なのが、バスケット分析というもので、「おむつ」と「ビール」がコンビニで同時に買われやすいというものである。ただし、出てきた情報が有用であるとは限らないし、信頼度・改善度・支持度等に注目する必要がある点で、カイ2乗法などの一般化線形モデルを用いたほうが好ましい場合も多い。

 また、頻度論派とベイズ派の話は面白い。頻度論派は、事前に予測などしないが、ベイズ派は事前に確率を予測する。そのためにアプローチが異なるのだ。疫学や社会調査などの帰納的アプローチは頻度論派が好ましいし、計量経済学などの演繹的アプローチはベイズ派が好ましいだろう。

 


終章  巨人の肩に立つ方法

 

FACTFULNESS(ファクトフルネス) オーラ・ロスリング

概要

ファクトフルネスとは、世界を正しく見ること。人間が誰しも持っている本能を抑えて、冷静な見方をすること。これを本書は伝えている。

目次

第1章 分断本能

第2章 ネガティブ本能

第3章 直線本能

第4章 恐怖本能

第5章 過大視本能

第6章 パターン本能

第7章 宿命本能

第8章 単純化本能

第9章 犯人捜し本能

第10章 焦り本能

第11章 ファクトフルネス本能

 

本文抜粋+感想

”世界を2つのグループに分ける代わりに所得レベルに合わせて4つのグループに分けてみよう”

 世界を先進国と途上国という2つではなく、4つに分けるというのは確かに世界をより正確に捉える助けになると思われる。このグループ分けとバブルチャートは本書の最も大きな功績の一つだろう。情報を集めて、整理し、分かりやすく提示する、というたったのそれだけのことでこんなに感動するとは思わなかった。ビックリしている。

 きっとたくさん足を運んで、「だいたいこの辺で生活水準が変化する」という線引きが出来たのであろう。ただし、これはのちに出てくるパターン本能・単純化本能にもつながっていると感じる部分もある。そして、この4グループの分類はおそらく間違っていないが、今後もそうだとは言い切れないと思うのである。つねに情報をアップデートし続けることが重要だと感じる。

”人はドラマチックな本能のせいで、何事も2つのグループに分けて考えたがる。いわゆる二項対立だ。”

 これには非常に同感する。SNSでもそうだ。活動家もそうだ。二項対立に持ち込んだ議論は多いが、それらが的を射てることはほぼない。白か黒かの議論で済むような問題はもう世の中には残っていないのに。

”分断という言葉は誤解を生む誇張表現だ。(中略)平均の一歩先にある「分布」に注目し、ひとくくりにされた数字よりも一人ひとりの数字を見ることで、より正確な全体像をつかむことができる”

これは僕自身も陥りがちな問題だと思う。基本的に統計をみるときは平均を見る。平均は平均以外の意味はもたない。正規分布とは限らない。「分布」に注目しないと真実は見えない。当たり前だが、忘れやすいことだ。心にとどめておかないと。

”「悪い」と「良くなっている」は両立する”

これも当たり前の話。コロナの時代だからこそ気をつけないといけない。コロナは「悪い」状態だが、国によっては「良くなっている」ところもある。思考停止にならずに、不謹慎厨にならずに、冷静に物事を見つめ、政策を打ってもらいたい。

”女性ひとりあたりの子供の数の平均:1965年=5人、2017年=2.5人”

 これは本書で最も衝撃的なデータだった。日本は異様な少子化が進んでいると思っていたし、世界はもっと多くの子供が生まれていると思っていた。しかし、それは大きな間違いだったことが証明された。所得が上がれば子供は減る。その結果2.5人まで減っていたとは…驚きである。

”規制が厳しくなる理由の多くは、死亡率ではなく恐怖によるものだ”

 これもまた真理である。わかりやすい恐怖が、死亡率などのファクトよりも人々の注目を集める。福島の原発事故で被曝して亡くなった人がいないことは僕も忘れてた。それだけ恐怖は強い。恐怖を植え付けるものほど冷静にデータを見る。それを大事にしたい。

”目の前にある命と同じくらい、目に見えない命は重い”

 目の前の人・モノを大事にするのは当然だ。自分の半径2m以内にいる人間も幸せにできないやつは何も守れないとすら思っている。でも、この言葉が意味することは重い。命を救うというのが目標ならば、最優先事項は、目の前の命を救うことではないかもしれない。簡単なほうに逃げてはいけない。

 またこの例では、病院に来る子供という現象ではなく、その要因である公衆衛生に対してアクションを起こしたことが多くの命を救った。因果関係についても正しく捉える必要を教えてくれる逸話だ。

”「8割はどこにあるのだろう」(中略)と問いかけてみよう。”

 80・20ルールだ。最近よく見かける。物事の大枠を捉えるという意味で、このルールは大いに役に立つのではないかと期待している。

”国は違っても所得の同じ人たちのあいだには驚くほどの共通点があることがわかるし、国は同じでも所得が違えば暮らしぶりが全く違うこともわかる”

所得が生活を分けている。民族や言語や宗教ではなく。ドル・ストリートの写真を見て気づいた。この指摘はかなり鋭く、正しい。

”数字がなければ世界は理解できない。でも数字だけでは世界は理解できない。”

 本書はとてもデータを大事にしている本だから、正直びっくりした。数字で全てを理解した気になるエリートは多いだろう。自分がそうなりかけていたら、この言葉を思い出そう。現地現物主義も一緒に思い出して。

”メディアは中立的ではないし、中立的でありえない。わたしたちも中立性を期待すべきでない”

 これに対しては異論がある。メディアは全国民に向けられたものである。ファクトフルネスを身につけたものだけがメディアの偏りに気づくとするなら、いったい何人がメディアに踊らされずに済むのだろう。現段階で人口の10%も身につけていないだろう。教育の進んでいる日本でこの状態なのに、メディアに中立性を求めずに何を求めるのか。情報は怖い。意図せざるフェイクニュースで暴動が起きることだってある。それで人が死ぬこともある。ジャーナリズムは、中立性を持つべきだ。さもなくば、画面の端っこに※中立性は担保できません。とでも書いておけばいい。

 

”『ファクトフルネス』を通じて人々に伝えたいのは、情報を批判的に見ることも大事だけれど、自分自身を批判的に見ることも大事だということ”

 確かに本書を読みながら、自分はどうかな、本能に支配されていないかなということを考えさせられた。謙虚に、好奇心をもって世の中に接することのできる人間になりたい。

コンサル一年目が学ぶこと

外資系のコンサル出身者が様々な業界で、結果を残していることからコンサルタントが一年目で学ぶことの中に普遍的なスキルが含まれているという仮説から書かれた本であり、基本的であるが、普遍的なスキル・マインドが簡潔にまとめられている。

 

第1章 コンサル流話す技術

第2章 コンサル流思考力

第3章 コンサル流デスクワーク技術

第4章 プロフェッショナル・ビジネスマインド

 

第1章

  • 01 結論から話す

PREPの型が提唱されている

結論、理由付け、具体例、結論

  • 02 Talk Straight 端的に話す

質問には、まずイエス/ノーで答える(遅刻でもなんでも)

  • 03 数字というファクトで語る

新人こそ、信頼がないとダメな意見ではなく、ファクトで話す

  • 04 数字とロジックで語る

上に同じく、数字とロジックなら経験なぞ関係ない

=テンパイ即リーと一緒

  • 05 感情よりも論理を優先させる

論理があるかないかが顧客には一番重要

  • 06 相手に理解してもらえるように話す

相手は何も知らないという体で話さないといけない

相手の理解度を仕草から測りながら話す ”「無言は無理解」のサイン”

  • 07 相手のフォーマットに合わせる

社内用語にこそ、その社会の独自の考え方が反映されている

  • 08 相手の期待値を把握する

相手の期待を超え続けることがビジネスの基本。そのためにはまず、相手の期待の中身を把握する必要がある

期待値を満たせないものは、安請け合いしない

  • 09 上司の期待値を超える

 報連相の基本は、その前提として上司からの仕事の指示の内容を明確に把握すること

①その仕事の背景や目的

②具体的な仕事の成果イメージ

③クオリティ

④優先順位・緊急度

 

  • 10 「考え方を考える」という考え方

「アプローチ」「考え方」「段取り」を先に考える

どの要素をどう分析すると、答えにたどり着くのかの手順を示す

  • 11 ロジックツリーを使いこなす
  • 12 雲雨傘提案の基本

(事実)「空を見てみると、雲が出ている」

(解釈)「曇っているから雨が降りそうだ」

(アクション)「雨が降りそうだから、傘を持っていく」

これらを完全に分けて考える

  • 13 仮説思考

はじめに、予想できる範囲で、ストーリーラインを描いてリサーチする

ストーリーに従って調べるポイントを絞って、効率的なリサーチに

  • 14 常に自分の意見をもって情報にあたる

情報量が増えても能力は向上しない。自分の意見をもつことで学びが増える

  • 15 本質を追求する思考

コンサルタントの仕事は、情報を提示することではなく本質を提示すること

本質を見出すには情報量ではなく、一段高い視点が必要

  • 16 文章作成の基本、議事録をマスターする

議事録には、発言の記録ではなく、後日の証拠となるよう、決定事項を簡潔に書く

 1 .決定事項、確認事項を書き、関係者に確認し、決定するためのもの

2   決定事項を書いて、後日のための証拠に残すためのもの

書くべき内容は次の4つ

・決まったこと

・決まらなかったこと

・確認が必要なこと

・次回に向けてのTo Do

 

 

シンプルイズベスト ①根拠となる数字や事実 + ②自分の解釈や主張

  • 18 エクセル、パワーポイントは、作成スピードが勝負

① コンサルの納品物はパワーポイントでつくるため、ツール操作のスピードが死活問題となる

② ショートカットを多用して、マウスを使わない操作を身につけている

  • 19 最終成果物から逆算して、作業プランをつくる

最終成果物のタイトルだけを書いた中身が空のパワポを作り、中身を埋めていくためのタスクを洗い出す。

  • 20 コンサル流検索式読書術

・読書の目的を絞る、明確にする

・ウェブを検索するように目次ベースで該当箇所を拾っていき、重要な部分だけ読む

・なるべく多くの文献を広く浅く当たる

  • 21 仕事の速さを2倍速3倍速にする重点思考

スピードの秘訣は無駄なことをやらない(80%という大多数を決める20%の要素にだけ注目する)

出来ない理由・障壁

①切り捨てることに罪悪感がある・勇気が持てない

②何が大事で何が些細な事かの判断がつかない

  • 22 プロジェクト管理ツール、課題管理表

プロジェクト管理ツールは、エクセルにプロジェクト進行上の課題をリストアップして関係者が進捗や状況を確認しあうための表のことを言います。

課題をどんどん書いていくのだが、次の3点を常に意識する

1.担当者。誰がやるのか?

2.期限。いつまでに終わらせるのか?

3.方向性。その課題を解決するために、どう取り組むのか?

課題管理表のイメージはエクセルに作成済み

  • 23 バリューを出す

他人に対する貢献ができ、相手がそこに価値を感じてくれたとき、その仕事にはバリューが生まれる

  • 24 喋らないなら会議に出るな

「発言しない人の価値はゼロ」「チームに貢献する意思がない」

  • 25 「時間はお金」と認識する

休憩の時間も金銭的コスト。プロフェッショナルに時間にこだわる。

マナーの問題ではない。お金の話。

  • 26 スピードと質を両立する

時間をかけて完璧なものを目指すよりも多少汚くてもかまわないので、とにかく早くつくる。Quick and Dirty

分からないということも大事な報告。分からないということを上司が把握できていないほうが問題。

時間をかけずにまずは大枠の方向性を決める!

  • 27 コミットメント力を学ぶ

一度約束したことは、何があってもやり遂げる。コミットの対象は常にクライアント。

方法は問わない。人の手を借りてでも、約束を果たすことを最優先する

コミットメントが高い人の条件

①仕事内容に納得している

②コミットメントが高い組織にいる

  • 28 師匠を見つける

若いうちはどのような仕事をするかより、誰と仕事をするかの方が大事です。

守破離

・守=師匠の一挙一動を真似る

・破=師匠と違ったやり方を覚え、幅を広げる

・離=師匠のやり方を超え、独自の技を生み出す

リーダーの提案をサポートするために周りを巻き込み、必要なことを考え、自主的に動く

最初に提案するのはリーダーの役割

その実現の為に、率先して自主的に動くのがフォロワーシップ

  • 30 プロフェッショナルのチームワーク

 上司には上司の、新人には新人の役割がある。自分の単葉分野でプロとして責任をもって仕事に取り組む