7つの習慣

概要

「人格主義」と呼ばれる

目次

第一部 パラダイムと原則

第二部 私的成功

第1の習慣 主体的である

第2の習慣 

第3の習慣

第三部 公的成功

第4の習慣

第5の習慣

第6の習慣

第四部 最新再生

第7の習慣

 

第一部 パラダイムと原則

 人格主義は、個性主義と対比されて述べられている。個性主義は表面的なテクニックを駆使して、人間関係を良くしたりしよう考え方である一方、人格主義は、その内側、つまり優れた人格でいることで、自分自身を幸せにしようという考え方である。本書では、小手先のテクニックだけでごまかせるものではない。人格を優れたものにすることこそが人生のあらゆる悩みの解決策だと言っている。

 こうしたモノの見方をパラダイムといい、パラダイムシフトこそが必要だと述べている。筆者の、スポーツの出来ない息子に対する接し方、そしてその根源にあった個性主義から人格主義にパラダイムシフトした話はとてもインパクトがあった。

 また、この本には何度も「原則」という言葉が出てくる。これは、いつの世の中でも自明なこと、そして自分たちでは変えられない世の中のルールのことである。具体的には人間の尊厳・可能性・成長などである。これらに従って、活かして生きることが重要だとされている。

 では、人格を正すにはどうすればいいのか?インサイド・アウトのアプローチが重要だと述べられている。内側から変わっていくということだ。上司に変わってもらうのではない、自分から変わっていくのだと。そのようなインサイド・アウトのアプローチとして7つの習慣が挙げられている。

 ちなみに、本書で習慣とは、「知識」「スキル」「意欲」の重なる点だとされている。どれも欠けてはいけない。

 また、「P/PCバランス」という考え方が用いられている。簡単に言うと、成果と能力に対する投資のバランス、短期的なリターンと、長期的なリターンのバランスのことである。これに注意を払っていかないといけないというのは同感である。

 ”モノの見方とは、すなわちその人のあり方である”

私的成功

第1の習慣 主体的である

 主体的でないとは、どういう状態かというと、反応的であるということである。反応的とは、外部からの刺激に対して、自分で律することなくはんのうしてしまうことだ。逆に主体的であるならば、刺激に対して、どのように反応するのか選択の自由を持ち、自覚・想像・良心・意思を持って反応するのである。

 主体的であるとは、自発的に行動することだけでなく、自分の人生に責任を持つことということである。

  また、「関心の輪」と「影響の輪」という考え方がある。自分の労力をかけている部分がどっちに入っているのかで、自分の主体性が分かるというもの。もちろん「影響の輪」に労力をかけているほうが主体的だと言える。そうして「影響の輪」を広げていくことが出来れば、ますます自分のコントロールできる範囲が広がっていくということだ。

”深く正直に、「今日の私があるのは、過去の選択の結果だ」と言えなければ、「私は他の道を選択する」と言うことは出来ないのだ。”

 

第2の習慣 終わりを思い描くことから始める

 終わりを思い描く、つまり自分が死んだときに周りの人たちにどう思われたいのかを想像するということである。そして、そこにある自分の価値観に従って自分の人生を設計するということを指している。

 これを実現可能にするのが、ミッション・ステートメントだ。イメージとしては企業のミッションの個人版といった感じであろうか。これを言葉にして持っていることは大きな違いが出ると思う。ミッション・ステートメントを書くには、自分の役割と目標を特定することが重要である。

 また、個人の内面の中心にあるもの、つまり価値観は、安定・指針・知恵・力の源になるが、中心にあるものはいくつかある。

 自分の場合は、友人中心・自己中心に近いと感じた。この場合、他人の意見に振り回されやすかったり、他人のモノの見方に引っ張られたりとか、自分にとって嬉しいかどうかで物事を判断してしまったりする傾向があるということだ。これを原則中心に変えていく。これは難しいことであるが、これこそインサイド・アウトである。

”これらの人たちに、あなた自身あるいはあなたの人生をどのように語ってほしいだろうか。”

第3の習慣 最優先事項を優先する

 ここで言われているのは、緊急ではないが重要性の高い「第Ⅱ領域」の活動の話である。自分がやらないといけないと認識しつつも出来ていないことは全て第Ⅱ領域の問題である。

 緊急度と重要性でマトリクスを組むと、人間は誰しも第Ⅰ領域で1日の8割くらいを過ごしていまい、残りの2割くらいを自分がやらなくてもいい第Ⅲ領域や、娯楽である第Ⅳ領域に使ってしまう。

 どうにかして、第Ⅱ領域の時間を確保しなければならない。まず、出来ることとしては、第Ⅲ領域・第Ⅳ領域のことに割く時間を減らすということ。次にデリケーション(人に仕事を任せること)である。自分の時間を割くときには効率性を重視し、人に任せるときには硬化性を重視することが大事。デリケーションする際には、使い走りではなく信頼して全面的にデリケーションすることが成功の秘訣だとされている。

 また、第Ⅱ領域の時間管理をするためのツールとして、フランクリンプランナーの活用が挙げられている。これについても自分で導入して、様子を見てみたいと思う。

 

公的成功

相互依存のパラダイム

まず、私的成功が順番として公的成功の前に来るということはゆるぎない事実であるとう前提を共有したうえで、相互依存についての話に移る。

 信頼口座という考え方が示されている。信頼口座に信頼がたまっているとコミュニケーションは円滑になるし、逆に底をつきているとコミュニケーションは途端に難しいものになる。信頼口座に預け入れをする方法は6つある。

1.相手を理解する 2.小さなことを気遣う 3.約束を守る 4.期待を明確にする 5.誠実さを示す 6.(口座から)引き出してしまったときは心から謝る

これらに気を遣うことで信頼口座の預け入れはたまっていくのだ。

第4の習慣 Win-Winを考える

人間関係には6つのパラダイムがある。

Win-Win すべての人間関係において、必ずお互いの利益になる結果を見つけようとする考え方と姿勢である。説得と妥協だけではないより良い第3の案の存在を信じること。

・Win-Lose 「勝つ」ということは「相手を負かす」ということであるという考え方。相対評価、レース。スポーツではこの考え方になる。

・Lose-Win 相手に対して何も主張・期待・見通しを持たず、自分の気持ちを伝える勇気もなく、ただ嫌われたくがないために、我慢するという考え方である

・Lose-Lose Win-Loseタイプの人間がぶつかり合ったときに「相手を負かす」という考え方に縛られすぎて、2人とも負けるのだ。

・Win 他者のことはどうでもよく自分が勝つことだけを考えるパラダイム

Win-Win or No Deal 基本的な考え方はWin-Winであるが、もしお互いの利益にならないと結論づいたときは、No Dealにするという考え方である。No Dealという選択肢があることによって余裕が生まれるのだ。

 

これら6つのパラダイムがあり、自分の心がすさんでた時を振り返ると、Win-LoseとLose-Winの二つが共存していた。これに違和感を覚えたが、この理由にも言及されていた。内面が安定していないので、自分の立場がぐらぐら揺れるらしい。自分の思い通りに行かなくなって規律の無い混乱した状態に耐えられなくなるとWin-Loseとなり、そのうちじぶんの高飛車な態度に良心が痛んでくるとLose-Winになり、怒りやイライラが募ってWin-Loseに逆戻りと繰り返す。負のスパイラルである。

 

Win-Winの原則はあらゆる、1.人格 2.人間関係 3.協定 4.システム 5.プロセスに支えられている。

1.人格

  ・誠実ー「自分自身に価値を置くこと」自分の価値観を明確にし、それに従って生きること

  ・成熟ー勇気と思いやりのバランスがとれていること。

  ・豊かさマインドーパイは限られていて、人が得ると自分の取り分がなくなると考えている人は、他人の成功を素直に喜べないし、Win-Loseの考え方に支配される。(欠乏マインド)

 

2.人間関係 互いに信頼しあい、信頼口座の残高をためておく。

3.協定 5つの要素を明確に。望む成果・ガイドライン・リソース・報告義務・評価の結果

4.システム 「バミューダ行きレース」の例を見ると明らかである。Win-Winが機能するにはそれを支える予算・給与体系等のシステムが必要不可欠。

5.プロセス ここの説明は第5,6の習慣で触れられる

第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される

人はたいていまず自分を理解してもらおうとする。そのため、相手の話を聞くときも理解しようとして聞いているのではなく、次に自分が何を話そうか考えながら聞いている。これは確かに心当たりがある。

ここで述べられているのは、共感による傾聴である。ただ注意深く話を聞くのではない。相手を理解しようという姿勢で聞くことである。

相手の話を聞くときに「自叙伝」からしがちな4つの反応が以下である。

・評価するー同意するか反対する

・探るー自分の視点から質問する

・助言するー自分の経験から助言する

・解釈するー自分の同期や行動を基にして相手の動機や行動を説明する

 

コンサルティングのプレゼンテーションでも相手企業の理解のフェーズが一番最初にあるが、これはまず相手への理解を示すことで、自分の話の信頼を上げる効果があったということなのだろう。

第6の習慣シナジーを創り出す

 シナジーは、あらゆる人の人生においてもっとも崇高な活動であるとされている。要は、1+1を2ではなく、4,8,100と無限の可能性を持たせることが出来るのがシナジーである。

 シナジーは信頼関係なくして生まれない。信頼と協力の度合いが高くなり、尊重的なフェーズを突破して、初めてシナジー的な関係になれる。シナジーを生むために妥協するのではなく、第三の案を考える。そのためには互いを尊重することが欠かせない。

最新再生

第7の習慣 刃を研ぐ

第7の習慣は、人間を作っている4つの側面の刃を研ぎ、第1~6の習慣を可能にするものである。

肉体的側面、精神的側面、知的側面、社会・情緒的側面、このすべての側面をバランスよく磨くことが必要である。

最新再生は、成長と変化を繰り返しながら、螺旋階段を上るようにして自分自身を高めていく原則である。そのために前提として必要なのは良心である。良心を鍛え、そしてより高い次元で学び、決意し、実行することが求められるのだ。